完全型プロトタイプ開発とは何か
業務のIT化で「完成してから気づいた」を防ぐための開発手法です。動くプロトタイプを先に作り、業務が本当に回るかを確認してから本開発に進みます。
システム開発でよくある問題
社内業務のIT化を外部ベンダーに依頼する場合、多くのプロジェクトは次のような流れをたどります。
- 要件定義(仕様書の作成)
- 設計・開発
- テスト
- リリース
このプロセスの問題は、「動くものが完成するまで確認できない」という点にあります。要件定義の段階で文章や図で合意していても、実際に動くシステムを見たときに「思っていたのと違う」と感じることは珍しくありません。
業務システムは複雑で、紙の上では見えなかった問題が動かしてみると出てきます。そしてリリース後の修正は、開発中の修正よりもコストが高くなります。
完全型プロトタイプが解決すること
完全型プロトタイプ開発では、本開発の前に「本番同等の機能を持つプロトタイプ」を作ります。
画面の見た目だけを再現したデザインモックアップとは異なり、実際にデータを入力・保存・参照でき、業務ロジックが動いた状態で確認できます。現場担当者が実際の業務フローを通しで試せるため、「この操作は現場では無理」「この項目が足りない」という問題を、本開発の前に発見できます。
また、本番開発と同じ技術で作るため、プロトタイプで確認・修正した内容がそのまま本開発の土台になります。プロトタイプにかけたコストは無駄になりません。
要件定義の効率化と高精度化
完全型プロトタイプ開発では、動くプロトタイプを触ることで要件定義の質が上がります。言葉や図では伝えにくい業務の細部も、操作しながら確認することで自然と明確になります。
さらに、「実は不要だった機能」を発見できるのも重要なポイントです。システムに搭載される機能の6割以上が、リリース後にほとんど使われないというデータがあります。プロトタイプ段階で業務フローを通して確認することで、「これは実際には使わない」という発見が生まれます。不要な機能を本開発前に除外できれば、開発コストを下げ、システムをシンプルに保てます。
「プロトタイプ」とどう違うか
「プロトタイプ」という言葉は幅広く使われます。画面デザインのモックアップも「プロトタイプ」と呼ばれることがあります。
完全型プロトタイプは、画面の見た目だけでなく、業務が実際に動く状態を作る点が違います。詳しくは一般的なプロトタイプ開発と、完全型プロトタイプ開発の違いをご覧ください。
どんな案件に向いているか
- 社内業務のIT化で、どんなシステムにすれば良いか曖昧な部分が多い
- 現場担当者に実際に触れて確認してもらいたい
- システム開発の発注経験が少なく、要件定義に不安がある
- リリース後の大きな修正を避けたい
完全型プロトタイプ開発が向いている状況・向いていない状況については、完全型プロトタイプ開発が向いている企業・向いていない企業でも詳しく解説しています。