一般的なプロトタイプ開発と、完全型プロトタイプ開発の違い

「プロトタイプ」という言葉は幅広く使われます。画面の見た目を確認するだけのものから、業務が実際に動くものまで——何が違うのか整理します。

画面プロトタイプ

画面プロトタイプは、システムの見た目や画面遷移を再現したものです。モックアップと呼ばれるものもこの一種です。FigmaやAdobe XDといったデザインツールで作られることが多く、クリックすると次の画面に遷移するような動作を再現します。

表示されている文字や数字はツール上に直接書き込まれたものです。データベースは存在せず、実際のデータは扱いません。「この画面構成でいいか」「このボタンはここでいいか」を確認するためのものです。

部分プロトタイプ

部分プロトタイプは、システムの特定の機能や画面だけを実際に動く状態で作ったものです。

たとえば、「検索機能だけ」「登録フォームだけ」をコードで実装し、その部分については実際にデータを入力して動作を確認できます。ただし、システム全体はつながっておらず、業務フローを通しで確認することはできません。

完全型プロトタイプ

完全型プロトタイプは、本番システムと同等の機能と画面を持つプロトタイプです。

実際のデータを入力・保存・参照でき、業務ロジックが動き、複数の担当者が実際の業務フローを通しで確認できます。「見た目の確認」ではなく「業務が実際に回るかどうかの確認」ができる状態です。

本番開発と同じ技術で作られるため、プロトタイプで確認・修正した内容がそのまま本開発の土台になります。

3つを比較する

画面プロトタイプ 部分プロトタイプ 完全型プロトタイプ
目的 画面・操作感の確認 特定機能の動作確認 業務フロー全体の確認
データ 画面に直書きした固定テキスト データベース、または固定データ データベース
業務ロジック 動かない 実装部分のみ動く 動く
確認できること 見た目・画面遷移 部分的な動作 「業務が回るか」
本開発との関係 使い捨て 使い捨てが多い 本開発の土台になる
向いている場面 デザインの方向性確認 技術検証・部分確認 要件定義・業務確認

どれを選ぶか

画面プロトタイプは、「どんな画面にするか」「操作の順番はこれでいいか」を素早く確認したいときに向いています。コストが低く、短期間で作れます。デザインの方向性を決める段階では有効な手段です。

部分プロトタイプは、「この技術で本当に実現できるか」「この機能の動作を先に確認したい」という目的に向いています。全体を作る前に特定のリスクを潰したい場合に使われます。

完全型プロトタイプが必要になるのは、「本当にこの業務フローで回るか」「現場担当者が実際に使えるか」「リリース後に大きな修正が発生しないか」を確認したい場合です。

画面の見た目が合っていても、実際に業務を動かしてみると「この処理、想定より複雑だった」「この例外パターンを考慮していなかった」という問題が出てきます。それを本開発の前に発見するためには、実際に動くものが必要です。

要件定義に自信がない、リリース後の修正を最小限にしたい、現場担当者に事前に確認してもらいたい——そういった場合には、完全型プロトタイプが力を発揮します。