常にバッファを意識しておく

「完璧なスケジュールを立てたはずなのに、始まってみたら遅れっぱなし……」 これは、ITプロジェクトに限らず、あらゆるマネジメントの現場で起きる現象です。

プロジェクトを成功させるPMが、計画段階から必ず仕込んでいるものがあります。それが 「バッファ(ゆとり)」 です。今回は、なぜバッファが必要なのか、どう確保すべきかを解説します。

バッファは「サボり」ではなく「保険」

「バッファを持たせる」と言うと、上層部から「もっと詰められないのか?」「余裕を持ちすぎではないか?」と指摘されることがあります。しかし、プロジェクトにおいて「予定通りに進む」ことはまずありません。

  • 主要メンバーが急病で休む
  • 使っているツールに想定外の不具合が見つかる
  • 経営層から突然の仕様変更が入る

こうした「予測できないトラブル」は必ず起きます。バッファとは、こうしたトラブルが起きたときでも、最終的な納期や予算を守るための 「保険」 なのです。

2種類のバッファ

管理すべきバッファには、大きく分けて2つあります。

1. スケジュールバッファ(時間)

各タスクの期限をカツカツに設定するのではなく、全体として数週間から数ヶ月の「予備期間」を後ろに置いておきます。タスクが遅れた際は、この予備期間を削ることで、最終納期への影響を防ぎます。

2. コストバッファ(予算)

見積もり金額ギリギリで予算を組むのではなく、不測の事態や仕様変更に備えて10〜20%程度の予備費をあらかじめ確保しておきます。

バッファをどう説明するか

社内でバッファを認めさせるには、伝え方の工夫が必要です。

「余裕を持たせています」と言うのではなく、 「リスク対応期間として確保しています」 と伝えます。過去のプロジェクトでのトラブル事例を引き合いに出し、「これらの不確実性を吸収し、確実にリリースを成功させるための管理手法である」と説明することが重要です。

まとめ:バッファがない計画は「計画」ではない

バッファのないスケジュールは、何一つトラブルが起きないことを前提とした「願望」に過ぎません。

PMの役割は、単に線を引くことではなく、プロジェクトを完遂させることです。最悪の事態を想定し、あらかじめ逃げ道(バッファ)を作っておく。その慎重さこそが、最終的にプロジェクトを成功に導くのです。