PMBOKとは?中小企業のPMにも必要なのか?
プロジェクトマネジメントについて調べると、必ずといっていいほど出てくるのが 「PMBOK(ピンボック)」 という言葉です。
PMBOKは "Project Management Body of Knowledge" の略で、米国のPMI(プロジェクトマネジメント協会)がまとめた「プロジェクトマネジメントの知識体系」のことです。世界標準の教科書と言ってもよいでしょう。
しかし、数千ページに及ぶこの膨大な知識体系を、中小企業のITプロジェクトを任された担当者がすべて読み込み、実践するのは現実的ではありません。今回は、PMBOKの考え方のうち、特に重要なエッセンスだけを取り出してみます。
PMBOKは「武器」ではなく「共通言語」
PMBOKを学ぶ最大のメリットは、 「共通言語」 が手に入ることです。
「スコープ」「ステークホルダー」「クリティカルパス」といった言葉の意味を共通して理解していれば、外部のコンサルタントやベンダーとの会話が非常にスムーズになります。「あれをこうしてほしい」という曖昧な指示が、「スコープの変更として整理しましょう」という建設的な議論に変わります。
中小企業のPMが押さえるべき「3つの視点」
PMBOKでは多くの管理項目が定義されていますが、中小企業のプロジェクトでは以下の3つを特に意識するだけでも、成功率は格段に上がります。
1. ステークホルダー管理(誰に関わるか)
プロジェクトの影響を受けるすべての関係者を洗い出します。反対勢力の現場担当者は誰か、最終的な財布の紐を握っているのは誰か。彼らの期待値をどうコントロールするかを考えます。
2. スコープ管理(何をやるか、何をやらないか)
「どこまでが今回のプロジェクトの範囲か」を明確にします。これが曖昧だと、開発途中で「ついでにこれもやって」という要望が無限に増え、プロジェクトがパンクします。
3. リスク管理(何が起きそうか)
あらかじめ「何が起きたら困るか」を予測しておきます。問題が起きてから慌てるのではなく、事前に備えをしておく。この「先回り」の思考こそがPMBOKの真髄です。
注意:PMBOKが万能薬ではない理由
ここまでPMBOKの有用性を説いてきましたが、注意も必要です。すべてのプロジェクトがPMBOKのルール通りにやってうまくいくわけではありません。
PMBOKは歴史的に「ウォーターフォール型(最初から最後まで計画を固める手法)」の開発を前提として発展してきました。最新の第7版でようやくアジャイル(柔軟な開発)に本格対応しましたが、それでもプロトタイプを触りながら要件を詰めていくような 「試行錯誤型の開発」 については、詳しく書かれていないのが実情です。
現場の状況を無視してPMBOKの形式(ドキュメント作成や承認フロー)を優先しすぎると、管理コストだけが膨れ上がり、肝心の開発が空まわりしてプロジェクトが失敗するケースもあります。
まとめ:PMBOKは「つまみ食い」でいい
PMBOKをすべて完璧にこなそうとすると、管理のための事務作業だけで日が暮れてしまいます。
大切なのは、 「自分のプロジェクトを成功させるために、どのツール(考え方)を使えば効果的か」 を選び取ることです。まずは用語の意味を調べる程度から始め、自社のプロジェクトの規模に合わせて「つまみ食い」していくのが、賢いPMBOKとの付き合い方です。