社内SEによる内製化〜小さなツールなら自分たちで作るという選択〜

外注しなくても、社内のIT担当者やAIを活用して小さなツールを自作する内製化という選択肢があります。メリット・デメリットと、外注との使い分けの考え方を解説します。

内製化とは

内製化とは、外部のベンダーに委託せず、社内の人員でシステムやツールを開発・運用することです。「社内SE」や「情報システム担当者」が中心になるケースが多いですが、最近はAIツールの登場で、専業エンジニアでなくても小さなツールを作れるようになってきました。

内製化に向いているもの

  • 社内用の小さなツール:特定の業務をちょっと楽にするスクリプトや、データ変換ツールなど
  • エクセルのマクロ・自動化:VBAやパワークエリを使った定型作業の自動化
  • 社内ダッシュボード:売上や在庫のデータを可視化するレポートツール
  • 簡単なフォーム・申請ツール:Google FormsやMicrosoft Formsを組み合わせた申請フロー

これらは仕様が小さく、社内ルールに依存するものが多いため、外注するよりも社内で作った方がスピーディーで安上がりになりやすいです。

「AIで誰でもエンジニアに」は要注意

ChatGPTなどの生成AIを使えば、プログラミングの経験がなくても簡単なスクリプトやツールを作れるようになっています。たとえば「エクセルの特定の列を別のシートに転記するマクロを作ってほしい」とAIに依頼するだけで、動くコードが得られることがあります。

ただし、AIは必ず正しいコードを作ってくれるわけではありません。一見動いているように見えても、実行したら大切なファイルが上書き・削除されてしまった、という事故は実際に起きています。AIが生成したコードをそのまま実行するのは、内容を理解しないまま知らない薬を飲むようなものです。最低限「何をするコードか」を確認してから使う慎重さが必要です。

内製化のメリット

コストを抑えられる 外注費用が発生しないため、小さなツールならゼロコストに近い形で作れます。

変更が速い 仕様変更や微調整が自分たちの判断で即座にできます。外注の場合、変更のたびに見積もりや工数調整が必要です。

業務知識を活かせる 現場の担当者が作るため、実際の業務フローに即したツールになりやすいです。外注先に説明する手間も省けます。

内製化のデメリット

品質・セキュリティの管理が難しい 専門教育を受けていない担当者が作ったツールは、セキュリティ上の問題を抱えやすいです。個人情報を扱う処理や、外部に公開するシステムは特に注意が必要です。

担当者が辞めると誰も触れなくなる 特定の人しか理解していないツールは、その人が異動・退職した途端に「誰も手を出せないブラックボックス」になります。

スケールしない 小さなツールとして作ったものが、使われるうちに機能追加を求められ、次第に複雑化していくことがあります。そうなると素人開発では限界が来ます。

システム全体は外注した方がよい理由

複数の部署にまたがる業務システムや、データの正確性・継続性が求められる基幹システムは、内製には向いていません。理由は以下の通りです。

  • 設計の専門知識が必要:データベース設計やAPIの設計を誤ると、後から修正するコストが膨大になります
  • テスト・品質保証が必要:ビジネスに直結するシステムのバグは、実害につながります
  • 長期の保守が前提:社内担当者が変わっても動き続けるシステムを作るには、ドキュメント整備・保守設計が必要です

「小さく社内で作る → 業務が広がってきたら外注でしっかり作り直す」という段階的なアプローチが、現実的でコストパフォーマンスの高い選択です。