SaaS同士をつなぐAPI連携〜スクラッチ開発なしで自動化する考え方〜

複数のSaaSをPower AutomateやZapierで連携させることで、システム開発なしに業務の自動化ができます。API連携の基本的な考え方と、活用例・注意点を解説します。

API連携とは

APIとは、ソフトウェア同士がデータをやり取りするための接続口です。たとえば「フォームに問い合わせが来たら、自動でCRMに顧客情報を登録し、担当者に通知を送る」という一連の処理を、コードを書かずに設定だけで実現するのがAPI連携ツールです。

複数のSaaSを使っているが、データを手で転記している場合や、「AのシステムでXが起きたらBのシステムでYをしたい」というニーズがある場合に有効です。

主なAPI連携ツール

Power Automate(Microsoft) Microsoft 365に含まれる自動化ツール。追加費用なしで使えるため、すでにMicrosoft 365を契約している企業にとっては最初の選択肢になります。TeamsやOutlook・SharePoint・Excelとの連携が得意で、「メールが来たらTeamsに通知する」「Excelが更新されたら承認フローを回す」といった業務に向いています。国内中小企業での採用実績も多く、サポートや日本語情報も豊富です。

Zapier 6,000以上のアプリと連携できる海外製のAPI連携ツール。「トリガー(きっかけ)→アクション(結果)」という直感的な設定で自動化を組めます。Google WorkspaceやSlackなどMicrosoft以外のSaaSを多用している場合に選択肢に入ります。無料プランもありますが、業務利用では有料プランが現実的です。

Make(旧Integromat) Zapierよりも複雑な自動化フローを視覚的に組めるツール。条件分岐や繰り返し処理が得意で、費用もZapierより抑えられます。ITリテラシーが高い担当者がいる場合の選択肢です。

活用例

  • Outlookにメールが届いたら、内容をTeamsの特定チャンネルに転送する
  • Googleフォームの回答をスプレッドシートに記録し、担当者にメール通知する
  • 採用フォームへの応募が来たら、採用管理ツールに候補者を登録する
  • kintoneのレコードが更新されたら、Excelレポートに自動反映する

これらはすべて、スクラッチ開発なしに設定ベースで実現できます。

メリット

開発コストが不要 エンジニアに依頼しなくても、業務担当者が設定できます。プログラミングの知識はほぼ不要です。

短期間で試せる 設定から動作確認まで数時間〜数日で完了することが多く、効果を素早く検証できます。

既存システムを変えなくてよい 既存のSaaSをそのまま使いながら連携を追加できるため、システム移行のリスクがありません。

注意点

複雑な処理には限界がある API連携ツールは「決まったデータを決まった場所に渡す」のは得意ですが、複雑な計算・分岐・大量データの処理は苦手です。高度な処理が必要になると、スクラッチ開発の方がシンプルになる場合があります。

連携先のAPI仕様変更で壊れることがある SaaSがアップデートしてAPI仕様が変わると、連携が突然動かなくなることがあります。重要な業務フローに組み込む場合は、定期的な動作確認の仕組みが必要です。

ツールへの依存が生まれる 特定の連携ツールに業務フローが依存するため、サービスの価格改定・終了時のリスクがあります。コア業務への適用は慎重に判断しましょう。

スクラッチ開発との使い分け

API連携ツールは「中程度の複雑さ」の自動化に最適です。シンプルな通知・転記・登録処理はAPI連携で素早く低コストに実現し、複雑なビジネスロジックや大量データの処理が必要になった段階でスクラッチ開発を検討するのが合理的なアプローチです。