社長自身がIT推進役になるときのコツ
小規模事業者のIT化は、結局のところ社長が動くかどうかで決まります。推進役を兼任する社長が陥りやすい罠と、うまく進めるためのポイントを整理します。
社長が推進役になることの強みと弱み
小さな会社でIT化を進める最大の障壁は「誰も決めない」ことです。大企業であれば情報システム部門が主導しますが、小規模事業者では社長が意思決定者であり推進役でもあります。これは弱点ではなく、実は大きな強みです。
承認を待たず、予算を自分で判断し、「やめる」「変える」を即決できる。この機動力は、IT化において最強の武器です。
一方で弱みもあります。社長自身が忙しすぎて、IT化が後回しになり続けることです。
「自分が一番使う業務」から手をつける
社長が推進役になるとき、最も失敗しにくいのは「自分が毎日触る業務」のIT化から始めることです。自分が使い続けるので習熟が早く、効果も実感しやすい。「社員のためにやる」より、「自分が楽になる」という動機の方が、継続につながります。
社員への強制は逆効果になることがある
社長がIT化に前のめりになると、「これを使いなさい」と一方的に導入してしまうケースがあります。しかし現場の社員が使いにくさを感じていると、形だけ従って実際には使われない、という状態になりがちです。
導入前に「どんな不便を感じているか」を社員に聞いてみましょう。課題が現場から出てきたツールは、定着率が格段に高くなります。
完璧なシステムを求めすぎない
社長がIT化に熱心になると、「どうせやるなら一番いいものを」と高機能なシステムを選びがちです。しかし機能が多いほど導入・習熟のコストは上がり、現場の抵抗も強くなります。
「8割の課題を解決できれば十分」という割り切りが、IT化をスムーズに進めるコツです。残りの2割は、使いながら別の方法で補えることがほとんどです。
IT化の「担当者」を一人育てる意識を持つ
社長が推進役を担えるのは最初の導入フェーズまでです。軌道に乗り始めたら、社内で「このツールのことは自分に聞いてほしい」という担当者を一人育てておくことが、長く使い続けるための布石になります。社長がいなくても回る仕組みを作ることが、最終的なゴールです。