ユーザーに見せて初めてわかること

作った側には「当然わかるだろう」と思える操作が、使う側には伝わらないことがあります。実際に触ってもらうことで初めてわかる問題を、開発前に発見できることがプロトタイピングの価値の一つです。

「作った人の目」では気づかないこと

システムを設計・開発した人は、そのシステムをどう使うかを完全に理解しています。そのため、実際に操作するとき「この次はここを押すはず」という前提で動きます。

ところが、初めて触るユーザーには、その前提がありません。「このボタンは何をするのか」「次にどこを操作すればいいのか」が直感的にわからないと、画面の前で手が止まります。

これは機能の問題ではなく、設計と利用者の認識のズレです。作った側がどれだけ丁寧に確認しても、自分では気づきにくいズレです。

見せてわかること

操作の迷い:「このボタンとこのボタン、どっちを先に押せばいい?」という迷いは、実際に操作してもらうと一目でわかります。手が止まる場所・何度も戻る箇所・聞いてくる操作が、UIの問題箇所を教えてくれます。

言葉の解釈のズレ:「承認」「確定」「登録」といったボタンの名称が、設計者の意図と異なる意味でユーザーに解釈されることがあります。システム用語に慣れた人が設計すると、現場担当者にとって意味が取りにくいラベルになることがあります。

業務フローとの不一致:「この画面で入力する前に、先に別の手続きが必要なんですが」という声が出ることがあります。設計段階では把握できていなかった業務の前後関係や例外処理が、実際の操作を通じて明らかになります。

「使いたい」と「使える」の差:機能として存在していても、操作が複雑すぎて実務では使われないものが出てくることがあります。「この機能はあるけど、結局Excelでやってます」という状態を防ぐためには、実際に使ってもらうしかありません。

本番前に発見することの価値

これらの問題を本番稼働後に発見すると、改修コストがかかります。開発会社とのやりとり・改修の工数・再テストと、問題が見つかるタイミングが遅いほど修正の手間は増えます。

プロトタイプの段階で実際のユーザーに操作してもらうことで、「動くけど使われない」システムになるリスクを、コストが小さいうちに下げることができます。

誰に見せるか

できれば実際に業務を行う現場担当者に触れてもらうことが重要です。決裁者や管理者ではなく、毎日そのシステムを使うことになる人が、最も適切なフィードバックを持っています。