プロトタイピングは「転ばぬ先の杖」

プロトタイピングは、システム開発の失敗率を圧倒的に下げます。それでも「予算がない」「時間がない」という理由で省略されることが多い。その判断が、取り返しのつかないリスクを生みます。

多くのプロジェクトは失敗に終わる

厳しい現実をお伝えします。システム開発プロジェクトの多くは、当初の目的を達成できないまま終わります。「予算内で完成したが現場で使われない」「開発期間が倍以上かかった」「完成後に大規模な改修が必要になった」——程度の差はあれ、こうした結果は珍しくありません。

規模が大きくなれば影響も大きくなります。数千万円から数億円以上の費用と、数年間の開発期間を費やした結果、業務への効果がほとんどなかった——あるいは、かえって現場の負担が増えてしまったというケースも実際に起きています。

プロトタイピングが省略される理由

こうしたリスクを下げる手段としてプロトタイピングは有効ですが、「やらない」という判断が下されることも多いです。理由として挙げられるのは主に以下の2点です。

  • 予算:プロトタイプを作るコストを余計な出費と見なしてしまう
  • 時間:開発スケジュールに余裕がなく、検証の時間を取れない

ただし、この判断には大きな盲点があります。プロトタイピングにかかるコストと、失敗したプロジェクトのやり直しにかかるコストを比べたとき、前者のほうが圧倒的に小さいという事実です。

全てに必要なわけではないが、多くに必要だ

もちろん、すべてのシステム開発にプロトタイピングが必要というわけではありません。小規模な改修や、要件が明確に固まっている場合は省略できるケースもあります。

しかし、業務フローに影響する中〜大規模な開発や、新しい仕組みを導入するプロジェクトでは、プロトタイピングを行うかどうかが最終的な成否を大きく左右します。

「転ばぬ先の杖」は、転んでから気づいても手遅れです。プロトタイピングは、開発着手前にこそ価値があります。