プロトタイピングで開発コストが下がることもある
プロトタイピングはコストがかかると思われがちです。しかし実際には、不要な機能を削ぎ落とすことで、開発全体のコストが下がるケースがあります。
開発したシステムの6割以上の機能は使われていない
ソフトウェア開発の世界では、以前から言われていることがあります。完成したシステムの機能のうち、6割以上は「ほとんど使われない、または全く使われない」というデータです。
なぜそうなるのでしょうか。開発担当者やベンダーは、発注者や将来的なユーザーからの要望を誠実に反映しようとします。「この機能もあったら便利かも」「このケースにも対応できるようにしたい」という意見を積み重ねると、自然と機能が増えていきます。要件定義の段階では「必要そうに見える機能」でも、実際に運用が始まると「あまり使う場面がない」ということはよくあります。
機能が増えるほど、コストも増える
問題は、機能の数がそのまま開発コストに直結することです。画面を1つ追加するにも、機能を1つ実装するにも、設計・開発・テストのコストがかかります。使われない機能を作るために予算と時間を使い、さらにその機能を維持管理するコストも発生し続けます。
「あれもこれも」と機能を盛り込んだ結果、開発費が当初見積もりの1.5倍〜2倍になったというケースは珍しくありません。
プロトタイピングで「本当に必要な機能」を見極める
プロトタイピングを通じて実際に操作・体験する中で、「この機能は絶対に必要だ」「この機能はなくても業務は回る」という判断が具体的にできるようになります。
実物に近いシステムを触って初めて気づくことがあります。資料やモックの段階では「必要そう」に思えた機能が、実際に動かしてみると「そんなに使わないかも」と感じるケースです。逆に、要件に入っていなかった操作が「ここは絶対に必要だ」とわかることもあります。
プロトタイピングによって不要な機能を削ぎ落とすことで、開発スコープが絞られ、結果として開発費が当初より下がることがあります。「プロトタイプのコスト+削減された開発コスト」のバランスが、全体的なコスト削減につながるというわけです。