そもそもMVP開発って流行ってるの?

「MVP開発」という言葉、聞いたことはありますか?

コンサルティング会社の提案資料やIT系の記事では頻繁に登場します。ただ、実際のビジネス現場で「うちはMVP開発でやっています」という話を聞くことは多くありません。正直に言えば、IT企業に勤めている人でも3〜4割は「聞いたことがある程度」ではないかと思います(当社調べ)。

流行っているかと聞かれれば、全く流行っていないです。

なぜ広まりにくいのか

発注側の理由

「最小限」で始めることへの抵抗感:「お金を払ってシステムを作るなら、最初からちゃんとしたものを」という感覚は自然です。「未完成のものをリリースして現場に使わせる」という進め方に、決裁者が納得しにくいケースがあります。

改善し続ける前提の難しさ:MVP開発は「使いながら育てる」ことが前提です。しかし実際には、開発予算を一度確保したら終わり、という発注の仕方が多く、継続的な改善のための予算・体制を最初から組み込んでいる会社は多くありません。

「MVP」という概念を知らない:そもそも選択肢として認識されていなければ、採用されることはありません。発注側にMVP開発の経験や知識がないと、提案されても判断が難しいという面もあります。

ベンダー側の理由

受注金額が小さくなる:MVP開発は「最小限から始める」ため、最初の受注規模がフルスクラッチ開発より小さくなります。その後の改善・拡張で継続受注につながる可能性はありますが、初回の規模を重視するベンダーには魅力が薄いです。

継続的な関わりが前提になる:MVP後の改善フェーズを想定した体制づくりが必要になります。単発の開発案件として受注するより複雑な関係になるため、対応が難しいベンダーもあります。

「MVP開発できます」と言いにくい:実態として、MVP的なアプローチをしているベンダーでも、それをMVP開発と呼んでいないことが多いです。「アジャイル開発」「フェーズ開発」「スモールスタート」といった表現で、実質的に同じことをしているケースもあります。

「アジャイル」との混在

「MVP開発」という言葉が使われなくても、同じ考え方がアジャイル開発の一部として取り入れられているケースはあります。

アジャイル開発は「短いサイクルで開発・確認を繰り返す手法」、MVPは「最小限で始めて検証する戦略」という違いがありますが、この区別が曖昧なまま語られることは少なくありません。IT企業でも「うちはアジャイルでやってます」と言いながら、具体的な手法は会社・プロジェクトによってバラバラということはよくあります。

言葉より中身で判断する

MVP開発という名前を使っているかどうかより、「小さく始めて確認しながら進めるか」「最初から完成形を目指すか」という考え方の違いの方が本質的です。

ベンダーに「MVP開発できますか?」と聞くより、「まず最小限の機能でリリースして、使いながら改善するという進め方はできますか?」と具体的に聞く方が、実態を確認しやすいです。「MVP開発」という言葉に詳しいかどうかより、その進め方に対応できるかどうかが重要です。