SaaSとMVP、小規模事業にはどちらが最適か?
業務のIT化を検討するとき、「SaaSを導入するか、システムを作るか」という選択が生じます。小規模事業において、SaaSとMVP開発をどう使い分けるかを整理します。
SaaSから始めることが合理的なケース
業務が一般的で、SaaSの標準機能に合わせられる場合
スケジュール共有・タスク管理・ファイル共有・グループウェアなど、多くの企業が共通して使う業務領域は、成熟したSaaSが存在します。自社固有の複雑な要件がなく、SaaSの設計に業務を合わせられるなら、SaaSの方がコストも手間も小さくなります。
まず試してみたい段階の場合
IT化の効果がまだ見えていない段階では、SaaSで試すことが現実的です。月額数千円〜数万円で始められ、合わなければやめることができます。MVP開発にかかるコストを使う前に、SaaSで業務が変わるかどうかを確認する手順は合理的です。
人員・予算が限られている場合
社員が数人の小規模事業では、システムの管理・運用に使える人員がいないことが多いです。SaaSはメンテナンスをサービス側が行うため、運用負担が最小限で済みます。
MVP開発が選択肢になるケース
SaaSを試したが、業務に合わなかった場合
SaaSを導入してみたものの、自社の業務フローと合わない・現場が使いにくいと感じている——こういった場合は、SaaSに業務を合わせることに限界が来ています。自社の業務に合わせたシステムを作る必要性が、実際の使用を通じて明確になっています。
複数の業務を連動させたい場合
受注管理・在庫管理・請求処理を別々のSaaSで運用していると、データの転記・二重入力が発生します。複数業務を一つのシステムでつなぎたい場合は、SaaSの組み合わせより、業務に合わせたシステムを作る方が長期的に合理的なケースがあります。
自社固有の業務フローがある場合
業種・商品・取引形態が特殊で、汎用SaaSの設計では対応できない業務がある場合は、MVP開発で自社に合ったシステムを作ることが選択肢になります。
小規模事業で気をつけること
SaaSとMVP開発、いずれにも共通するリスクがあります。
SaaSの場合:使わなくなっても料金が発生し続けるケース、データの移行が難しくなるケース、機能追加・プラン変更で料金が上がるケースに注意が必要です。
MVP開発の場合:開発コストが予算を超えるケース、作ったものが使われないケース、改善を続ける体制・予算がなくなるケースに注意が必要です。
順番として考える
どちらが良いかではなく、「どちらから始めるか」として考えることが実践的です。
まずSaaSで試してみる。合わない部分・足りない部分が具体的にわかったら、その部分をMVPで補う。あるいは、SaaSで対応できない業務についてMVP開発を検討する。
この順番を踏むことで、何が本当に必要かが明確になり、開発に投資すべき範囲が絞れます。