「プロにお任せします」でとんでもないことになった
「ITのことはよくわからないので、全部お任せします」——この一言が、数ヶ月後に届く謎のシステムの伏線だったとは、そのとき誰も知らなかった。
検収当日
納品物を前に、担当者は数分間、画面を眺めていた。
動いてはいる。エラーも出ていない。ただ、何をするシステムなのかが、ぱっと見ではわからなかった。
ベンダーの担当者が説明を始める。「こちらがメインダッシュボードで、ここからデータを登録して、このボタンで——」
「あの、これ、受注管理ですよね?」
「はい、ご要望通りです」
「……注文を電話で受けた後、ここに入力するんですよね?」
「仕様書にそう書いてありましたので」
仕様書。そういえば、最初の打ち合わせのあとにベンダーが作ったあの書類、確認したような気もするし、してないような気もする。
検収にサインした。他に選択肢がなかった。
なぜこうなるのか
「プロに任せる」は正しい判断です。ただし、「何を作るか」は発注者しか知りません。業務の現状・使う人・解決したい課題——これらを伝えなければ、プロはプロの解釈で作ります。プロの解釈が当たるとは限りません。
要件定義フェーズに参加しない、中間確認をしない、という進め方は、完成してから初めてギャップに気づくことを意味します。
「お任せします」と言った瞬間から、発注者の仕事は終わりではなく、始まりです。