誰も触れないけど、今日も動いているシステム
そのシステムは今日も動いている。誰が作ったのか、何のためのものか、誰も知らないまま。壊れないことを、ただ祈りながら。
こうして「幻のシステム」は生まれる
フェーズ1:担当者が辞める システムの設計・構築・運用を熟知していた担当者が、退職または異動します。「引き継ぎ」は行われましたが、「なんとなく動かし方」だけが伝わり、「なぜそうなっているか」は伝わりませんでした。
フェーズ2:マニュアルがない 「マニュアルはそのうち作ろう」と思っていたまま、誰も作りませんでした。引き継ぎを受けた人は、見様見真似で操作を覚えましたが、その人も1年後に異動しました。
フェーズ3:誰も触れなくなる 現在の担当者は、このシステムが何をしているか大まかにしか分かりません。触って何かが壊れるのが怖いため、エラーが出ても再起動で対処します。改善や機能追加はもちろん、設定変更もできません。
フェーズ4:止めることもできない 「止めたら何かが動かなくなりそう」という恐怖から、使われているかどうか分からないまま、サーバー費用だけが毎月かかり続けます。
なぜこうなるのか
属人化とドキュメント不足が重なると、このパターンに陥ります。「忙しくてマニュアルを書く時間がない」「自分がいる間は問題ない」という判断の積み重ねが、数年後に「誰も触れないシステム」を生み出します。
防ぐためにできること
システムの概要ドキュメントを作る:何のためのシステムか・どのサーバーで動いているか・誰が管理しているかを1ページでもまとめておくだけで、引き継ぎの質が変わります。
操作手順をメモレベルでいいので残す:完璧なマニュアルでなくていいです。「よくやる操作」「エラーが出たときの対処」を箇条書きで残しておくだけで、次の担当者の助けになります。
定期的に「誰が何を知っているか」を確認する:1人しか知らない業務・システムがないかをチームで確認する習慣を持つことで、属人化の発生に早く気づけます。
システムの寿命は、コードの品質ではなく、ドキュメントと引き継ぎの質で決まることがあります。